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英語の雑学
〜Trivia of English〜


フットボールとサッカー、ムービーとシネマ

 英語音痴を自認する日本人にとって、頭が混乱するのはひとつの英単語が違う意味を持っていたり、同じ意味なのに複数の英単語が存在することではないでしょうか。

 例えばfootballという英単語からどんなスポーツを想像するでしょうか?サッカー(soccer)という人もいれば、アメリカン・フットボール(American football)という人もいます。これはどちらも誤っているとはいえません。それどころか、ラグビー(rugby)と主張しても間違いではないのです。

 これは同じ英語でもイギリス英語とアメリカ英語の違いから生まれたもの。アメリカ人相手にサッカー談義で花を咲かせようとしてfootballという英単語を使っても、話がかみ合わないこともあるので注意したいところです。

 同じ「映画」を意味するのに、movie、cinemaという単語があるのもアメリカ英語とイギリス英語の違いです。movieはアメリカ英語、cinemaはイギリス英語です。さらにイギリス英語ではfilm(フィルム)やpicture(ピクチャー)も映画を意味します。英語音痴はますます混乱してしまいますね。



勢いよく閉める必要あり!?

 名称の答え方で世代がわかってしまう代表的な言葉に「チャック」があります。これは英語でzipperといい、すでに「ジッパー」は多くの日本人に認知された外来語と言っても構わないでしょう。

 zipperはzipという口語から派生した単語です。zipは「元気」という名詞として使われたり、動詞として「元気よく行動する」の意味で使われます。だからzipperは勢いよく上げ下げするのが正しい使い方ということになるかもしれません。

 また、zipはアメリカの4コママンガなどでもよく見かける単語でもあり、たいていの場合は擬音語として使われます。スピード感を表す擬音語であり、日本語にするなら「ヒュッ!」と風を切るような意味合いに訳すことができれば正解です。英語の擬音語に不慣れな日本人はzipの持つ語感にピンとこないかもしれません。

 zippyという形容詞に変化しても考え方は変わりません。zippy melodyとあれば「にぎやかなメロディ」とでも訳せば間違いありません。ただし、Zip Codeとあった時は「にぎやかなコード(数字)」と解釈するのは間違いです。これはアメリカの郵便番号を意味します。州名の後に入る5桁の数字で、郵便配達地区を区別するコードとなっています。



ファミリーのとらえ方

 “Do you have a family?”と独身男性/女性が美しいアメリカ人の独身女性/男性から尋ねられたら、たとえ父母が健在だからと行ってYesと答えるべきではありません。この場合は「あなたにはお子さんがいるの?」と、家庭持ちかどうかを尋ねられたことを意味しているからです。

 一般的にいうと、日本では夫妻いずれかの両親が同居している場合は家族の一員としてカウントします。しかし、英語圏に暮らす人々にとってfamilyには同居していたとしても夫妻の父母は含めません。結婚した相手と二人の間に生まれた子供を意味するのです。

 自分たちだけで築いた家庭をfamilyと呼ぶ価値観とでもいうのでしょうか。その証拠に、自分が召使いを雇っている家庭では、その人物をfamilyの一員と見なしたり、時には自分が飼っているペットまでをfamilyに含めることも珍しいことではありません。

 反対に、仮に独身男性が両親と同居しているからといって家族がいると独身女性に答えると、不倫(love affair)は嫌だと女性が身を引いてしまうことになりかねません。


head money

 不動産用語に「手付金」や「頭金」という言葉がありますが、これを英語にすると何というのでしょうか。

 「手付金」の場合、素直にhand moneyと訳しても立派に通じてしまいます。だからといって「頭金」はhead moneyだと信じて使うと、笑われたり「警察に行け」と皮肉られたりするから注意したいところです。英語でhead moneyは「逃亡者や敵の首にかけた賞金」という意味で使われているからです。

 不動産取引の際、頭金を表現したいのならばa down paymentやkey moneyを使うと通じます。

 また不動産以外の場面で、たとえば弁護士への手付金などの場合はa retaining feeと呼ぶ方が一般的です。

 ちなみに、日本でいう「敷金」は家主に預けておくお金という意味合いからa depositと考えがちですが、アメリカでは銀行に預金するときなどに使われる表現です。むしろ保証金という意味合いからa securityと呼ぶことが多いのです。


カンニングが良い意味で使われる!?

 カンニングというと日本では試験中に生徒の間で行われる不正行為を指します。

 しかし英語表現では、たとえば“He did a cunning in the test.”という指摘があったら、その彼はカンニングをしたために糾弾されていると思ってはいけません。正解は正反対の意味を帯びていて、「彼はみごとに試験問題を解いた」と訳すべきなのです。

 cunningは形容詞として使われるときは「ずる賢い・狡猾(こうかつ)な」という意味を持ちますが、名詞として使われる際は良い意味での「巧妙さ」という意味になります。

 それでは日本のカンニングを英語で表現しようとするならどうすればいいのでしょうか。これはcunningの代わりにcheating(欺く・だます)やcribbing(カンニング)を用います。「彼は試験でカンニングをした」という場合は“He cheated in the test.”となります。

 cheatingは日本のカンニングと比べて神に背いた倫理的に問題のある行為を指す言葉なので、カンニングが発覚してcheatingという表現で非難されたら重い罰が下ることを覚悟しなければならないでしょう。

 ちなみに、アメリカやイギリスでは1クラスの人数が日本と比べて少ないのでカンニングも少ないようです。


WilliamがBillでElizabethがLiz

 英語のファーストネームの愛称は案外難しいものです。

 ThomasがTomやTommyになる程度ならすんなり受け入れられますが、どこをどうしたらそうなるのかと思わせるものも少なくありません。

 たとえば、あの大物女優エリザベス・テイラーの愛称はLizですが、ElizabethにはBettyやBess、Bessyなどを使うのが一般的。

 ほかにも、WilliamがWill、WillieのほかにBillと名乗ることもありますし、RobertはBobやRobinに、RichardがDickになったりもします。それに比べればAnthonyがTonyになったり、NicholasがNickに縮まるといったものはまだわかりやすいほうです。

 アメリカでは共通の友達から人を紹介されたりすると“Call me Tom.”(トムと呼んでくれ)などと言われることが多いそうです。ただし、人それぞれ好んで使っている愛称は違うし、縮めたりしない名前で通している人もいるので、決して勝手な解釈で呼びかけたりしないのが無難です。

 親しみを込めたつもりでも気持ちの行き違いを生む恐れがあります。


「コンセント」は安売り店と同じ「アウトレット」

 外来語の中には、なぜか語源さえわからないものがあります。

 その代表格がコンセント。壁に付いていて電気製品のプラグを差し込む、あのコンセントです。英語にはcomsentという単語がありますが、これは「同意」「承諾」という意味。最近、日本でも広まりつつある治療を受ける際の「インフォームド・コンセント」(informed consent)の「コンセント」です。

 プラグの差し込み口をアメリカでは何というかといえばoutlet。これを聞くと、ショッピング好きはブランド製品を安く売るアウトレット・ショップを連想するでしょう。outletには「コンセント」の他に「はけ口」「放出口」「販売代理店」という意味もあって、傷物の商品などを安くさばくのがアウトレットの店なのです。

 では、コンセントという日本語はどこからきたのでしょうか。綴りを変えてconcentとしてみても該当するような単語はありません。「同心円の」「集中的な」をさすconcentricとつながりがあるとする説もありますが、この単語を使ってコンセントをいい表すことはできません。その由来は今も闇の中です。


学校の「OB」は「産科」になってしまう

 「学校のOB」といえば卒業生のこと。これはold boyの略だから立派な英語だと思っている人が多いと思います。

 しかし、英語でいくらOBと言っても通じません。old boyと略さずに繰り返したところで、なかなか理解してはくれないでしょう。

 それというのも、アメリカの場合、OBといえば「産科(学)」をさすobstetricsの略語をさすことが多いからです。old boyはかなり古い表現で超エリートの内輪同士をさすことはあるようですが、一般的にはまず使われません。大人の男性にboyを使うと見下したり差別を含んだ意味合いで捕らえかねないことも心に留めておく必要があります。

 学校の卒業生はgraduateというか、ラテン語を借用してalumniと呼んだりします。これは男性の複数形で、単数形ならalumnusに、女性の複数形がalumnaeで単数形がalumnaです。

 一方、イギリス英語でold boyといえば、上流階級の子どもたちが送り込まれる名門の私立男子校public schoolなどの卒業生や同窓生をさします。大学の卒業生や同窓生には使われないので注意したいところです。


4年に1度の「閏年」を英語で何という?

 何年分ものカレンダーをめくってチェックしなくても、4年に1度、閏(うるう)年がくることは常識でしょう。閏年の2月は29日までとなり、1年は366日となります。

 正確には1年が365.25日であることから閏年は生まれているのですが、それでは英語で閏年を何というのでしょうか。

 答えはleap yearといいます。leapは「飛ぶ、飛び跳ねる」という意味の語で、leap yearは「飛び跳ねた年」という意味。でも、なぜこれが閏年になるのかは、ちょっとイメージしにくいところです。

 しかし、leap yearと命名された理由にはそれなりの論理性があります。カギを握っているのが曜日です。

 カレンダーをめくって、特定の月日が何曜日だったのかを、4年間にわたって確認してもらえるとわかりますが、毎年順序よく曜日がずれていくのに、閏年だけは1つ曜日を飛ばしてしまいます(例:1997年4月1日(火)、1998年4月1日(水)、1999年4月1日(木)、2000年(閏年)4月1日(土))。この法則性から、閏年はleap yearと名付けられたのです。


「猫に小判」の英語版が「ブタに真珠」

 「猫に小判」という日本のことわざがあります。「ものの価値を理解していない人間に、貴重なものを与えても何の意味もない無駄なことだ」という意味で長い間使われてきました。

 このことわざを英訳すると“Do not cast your pearls before swine”となります。直訳すると、「ブタに真珠を投げ与えてはいけない」。猫の代わりにブタが、小判の代わりに真珠が採用されています。そう、「ブタに真珠」は「猫に小判」と同じ意味だったのです。

 「ブタに真珠」も日本生まれのことわざだと信じている人は意外と多いのですが、実はこの一節は新約聖書のマタイ伝に由来するものです。聖書のなかで、ブタはイヌと並んで汚れた生き物として扱われており、与える価値のない象徴としてみなされたのでしょう。

 興味深いのは、同じ気持ちを表現するフレーズは世界各国に存在しており、その象徴として採用される動物やものがお国柄を反映していることです。たとえば、フランスでは「ブタにバラの花をかけるのは馬鹿げている」とブタとバラの花が採用され、マレー語では「イヌにダイヤの首輪をする」とイヌとダイヤに変わります。動物と貴重なものをセットにしてたとえる発想が共通していておもしろいです。


アニメはanimationと同じ意味ではない!?

 日本のアニメは今では海外でも高く評価されています。ファンにとっては鼻高々といったところでしょう。これからは海外の人とアニメ談義をする機会が増えてくるかもしれません。

 そういうときのためにまず覚えておきたいのが、「アニメ」の英訳です。「アニメ」を略さずに英訳したつもりでanimationというと「動画制作」「動画化」などという意味合いになり、技術的な話になって通じにくいのです。

 日本語の「アニメ」に相当するのは、cartoonsという言葉です。紙に印刷されたマンガと区別するためにanimated cartoonsもしくはcartoon filmなどと言うこともありますが、普通は使う動詞や文脈からcartoonsと言うだけでわかります。

 また、cartoonという単語は、新聞や雑誌の風刺マンガをさして使われます。4コママンガはcomic stripといい、子ども向けのマンガ本はcomic bookというのが一般的です。

 ちなみに、animationには「活発」「元気」といった意味もあります。人などが「生き生きとした」というのにanimatedという単語が使われることもあるので、ついでに心にとめておくといいでしょう。


名前が先か後か…氏名の英語表示法

 中学生のときから日本の教科書で英語を学んできた者にとって、英語で名前を言うときは氏名の順序が逆になるということは当たり前のこととして処理してきました。しかし、ここにきて英語でも自分の名前は姓、名の順で言ってもいいのではないかという意見がわき出て、論議を呼んでいます。

 日本で表記するのと同じように姓、名の順番で名前を表してもいいという意見を支える根拠はこうです。姓、名の順番は日本の人々にとっては自然なことで、ほかの国、たとえばお隣の中国や韓国の人々は、自国の名前の順序を守っている。日本だけが英語式に迎合する必要はない、ということ。

 この問題は賛否両論があり、これからも議論が重ねられていくようです。もし日本式表現を主張するなら、姓と名を英語でどう表現するかも慎重になった方がいいかもしれません。

 名をfirst nameというと、それは英語式のルールに当てはめられた言い方となります。親からもらった名前と言うことでgiven nameを、姓もlast nameでは整合性がないのでfamily nameという表現を正式に採用する方がいいでしょう。


福沢諭吉が出版した英単語集

 英訳を自動で行うことができる自動翻訳機が登場するなど、英和辞書がなくとも英語を日本語に訳す作業が簡単になりつつあります。

 しかし、最初に言語体系がまったく異なる英語に取り組んだ先人には苦労が多かっただろうことは察してあまりあります。慶應義塾大学の創始者であり1万円札でおなじみの福沢諭吉もその一人です。

 福沢は幕府の使節団の一員として、1860年に渡米しました。このとき、ウェブスター英語辞書と、清国の子卿という人物が著した「華英通信」を入手し、これをもとに帰国後「増訂 華英通信」を出版しました。3000近くの単語と300あまりの英会話がおさめられていました。

 福沢はloveの読み方を原典である中国語に習い「笠父」と表記するとともに「ローヴ」とカタカナによる読み方も記しました。意味も原典の「愛」にルビをふるように、カタカナで「カアイガル」と記すなどの工夫を凝らしました。

 今読み返すと、訳語は現代人には古めかしく感じるかもしれません。しかし、princessの読みを「プリヌシス」とするなど、今よりも本場の発音に近い表記が目立ちます。福沢諭吉の面目躍如といったところでしょう。


パン屋の1ダースは12ではなく13

 工場で大量生産されてスーパーやコンビニに並べられるパンは、袋に表示された通りの重さになっています。ロールパンなどが同じ大きさにそろっているのも当たり前の話です。

 しかし、昔からそんなことができたわけではありません。現代的な設備や技術が発達する前の時代には、焼き上がったパンはそれぞれ形も大きさも違っていました。

 それを今に伝える言い回しが“baker's dozen”です。直訳すると「パン屋の1ダース」になりますが、これで本来の1ダースの「12」よりひとつ多い「13」をさします。

 その由来は、15世紀のイギリスにまでさかのぼります。この頃、目方の足りないパンを売ると重い罰に処せられるという法律ができました。パンの目方をごまかす店が多かったためです。

 処罰を恐れたパン屋は頭を抱えました。当時の設備ではパンの目方をそろえて作るのは不可能だったから、へたをすれば気付かないうちに法律違反を犯してしまうかもしれない。

 そこで思いついたのが、1ダースごとに保険として1個をおまけにつけること。こうしておけば目方の足りないパンが万が一混ざっていても、合計すれば十分な目方になる。そのうちに、「パン屋の1ダース」といえばおまけを入れて「13」になったというわけです。


のぞき魔がPeeping Tomと呼ばれる理由

 「のぞく」ことを英語でpeepと言いますが、他人の家や寝室を密かにのぞいて楽しむ好色なのぞき魔は「Peeping Tom」(のぞき屋のトム)と呼ばれています。トムという名前がつけられるようになった理由は、11世紀のイングランドでの出来事に由来します。

 1040年にイングランド中部の街コヴェントリーの領民は重い税金に苦しめられていました。このままでは飢え死にしてしまうという領民の声を聞いた領主の妻ゴダイヴァは、夫に税を軽減するように進言しました。それを聞いた領主は冗談のつもりで「おまえが裸で馬に乗り、街を一回りするなら考えてもいい」と言い渡しました。

 それを真剣に受け取ったゴダイヴァは本当に裸で街に出ることを決意しました。そんなゴダイヴァの決意に感謝した領民たちは、家にこもって戸や窓を閉め、彼女の姿を見ないことで応えようとしました。ところが、好色の仕立て屋トムだけが、その禁を破ってゴダイヴァの裸の姿をのぞいてしまいました。それがもとで、トムは失明することになってしまったといいます。

 このエピソードをきっかけとして、Peeping Tomという呼ばれ方が誕生しました。Tomという名前の男性たちにとっては、このTomの行為は迷惑至極なことに違いありません。


英語のナンバープレートの言葉遊び

 日本のドライバーのなかに、車のナンバープレートの数字にこだわりを持っている人たちがいます。アメリカでも日本同様、数字にこだわるドライバーもいますが、アメリカのナンバープレート(license plate)はアルファベットと数字の組み合わせであることを利用して、特別な意味を持たせたり、ユニークな表現を実現している人もいます。

 そのなかから、おもしろい例をいくつか紹介したいと思います。

 「TI-3VOM」。これは何を意味しているのかは、すぐには理解しにくいナンバーです。しかし、この車の前方を走っているときにバックミラーで確認するとその意味が瞬時にわかります。バックミラーには「MOVE-IT」(さっさと走れ)と映るからです。

 制限速度55マイルに抗議するため「55IZ2LO」(55 is too low=55マイルはあまりに遅い)と掲げたり、抜き去るときの挨拶用にか「XQSME」(Excuse me=失礼)などのナンバープレートも実際に認められています。他にも、大学生が親に車を買ってもらった感謝の気持ちを表したのかもしれない「IL STUDY」(I'll study=僕は勉強するよ)や、愛を告白する「LUV-U2」(Love you, too=愛してるよ)などの車も存在します。


英語式語呂合わせ暗記法

 次に紹介する謎の英文を解読できたら、あなたはシャーロック・ホームズ並みの名探偵になれる素質の持ち主です。

 “May I have a small container of coffee child cab class children class-room cabinet character CPA Ca cap Columbia city cherry Cd cheese chin can car calender cat CI circular constant?”

 辞書を引きつつ“やたらCが頭につく単語が多いな。「小さな袋に入れたコーヒー、子ども、タクシー、授業、子供たち…をいただけますか」だって?何を言ってるんだ!?”などと怒っていては、正解を導き出すことができません。

 ヒントは、単純に英単語の文字数を並べてみることです。「31415926535…」と見覚えのある数字の羅列となるはずです。そう、数学の授業で学んだ円周率です。

 このほかにも、“How I want a drink, alcoholic of course, after the heavy lectures involving quantum mechanics”などもあります。

 日本人が、平方根のルート2を「一夜一夜に人見ごろ(1,141421256)」と覚えたのと同じ発想で、海外の人々も数字に取り組んでいたのです。


日本語と英語の「ウソ」の違い

 人にウソをつくことは悪いことであることは万国共通です。しかし、そのウソを表現する言葉の重みやイメージは、日本語と英語を比較するとやや異なるのは興味深いところです。

 たとえば、日本語と英語表現におけるウソの色のイメージを比較してみましょう。日本語では「真っ赤なウソ」という言い回しをしますが、ウソにまつわるカラーイメージは赤以外にはないのが実情です。しかし、英語ではblack lie(黒いウソ)やwhite lie(白いウソ)と、ウソにも異なる色があります。そして、黒の場合は悪意のあるついてはいけないウソ、逆に白はついてもいいウソと、ウソを色によって2種類(善悪)に分けて考えているのが日本とは異なります。white lieを日本語に訳する「ウソも方便」ということになるのでしょうか。

 また、日本語の日常会話の中には「ウソだろ〜!」「え〜、ウソだぁ」など、男女を問わずウソという言葉が気軽に使われています。ところが、英語で“That must be a lie.”(それはウソだぁ)や“You are a liar!”(嘘つきめ!)というと、極めて強い意を表すことになります。日本のように、気軽に「ウソ」という言葉は使われていません。

 やはり、聖書の中でウソをつくことは固く禁じられていることが関係しているのでしょうか。


「オタク」は自慢になる

 「オタク」というと、ひとつのジャンルに異常にこだわる人々をさす、日本語としても比較的新しく生まれた言葉です。そんなオタクという言葉にはどこか暗いイメージがつきまといます。特にオタクと呼ばれる男性は、若い女性から敬遠されるタイプが多いため、言葉にネガティブな響きを与えているともいうことができます。

 しかし、オタクはアメリカ英語ではすでにotakuとして広く認知されています。これまで英語になった日本語にはkimono(着物)やgeta(下駄)などの衣類や履き物に関するもの、sushi(寿司)やsake(酒)などの食に関するもの、karate(空手)やgo(碁)などのスポーツやゲームに関するものなどがありますが、これほど早く英語として認知された言葉も珍しいです。

 そのうえ、otakuは「オタク」と違って結構好意的な形容として扱われているようです。otakuは「日本のアニメ映画のマニア」であることを意味しています。クオリティの高いことで名高い日本のアニメは、アメリカでも高い評価を受けているようで、アメリカの人にotakuと呼ばれたら自慢になることなんです。


「ハイキング」と「ピクニック」の違い

 特に都会で暮らしている人などは、季候の良い季節ともなると戸外の新鮮な空気を吸ってリフレッシュしたくなるようです。そうなると自然の恵みを求め、ハイキング(hiking)にでも出かけようかと計画することになります。

 ところで、hikingに似た英単語としてピクニック(picnic)があります。日本の英和辞典の中にはpicnicを引くと「ピクニック、遊山、遠足」とあり、ふたつの単語はまったく同じ意味だと解釈している人もいます。しかし、アメリカではpicnicとhikingは明らかに違う意味合いを伴う行動として使い分けられています。

 まずpicnicですが、こちらは「楽しむために外出することで、戸外で食事を取ること」を意味する行動です。一方のhikingはというと、「運動のため山野を歩いて散策すること。遠足」という意味合いがあります。つまり、picnicには歩くという意味がなく戸外で食事をすれば成立しますが、hikingは成立しないということになります。


 ってことは…自分の家の庭でワイワイ食事をしても、hikingとは呼べなくても、立派にpicnicをしたことになりますね。確かに、そういう場で使われるテーブルはpicnic tableと呼ばれていますよね。


英語の回文

 “上から読んでも下から読んでも同じフレーズになる文”のことを回文といいます。例えば「しんぶんし(新聞紙)」や「たけやぶやけた(竹藪焼けた)」みたいな文のことです。言葉遊びとして1回はやったことがあるのではないでしょうか?

 「回文」を英訳するとpalindrome(パリンドローム)になります。この英単語があることからもわかるとおり、英語圏でも回文が存在するのです。

 単語レベル(日本の回文で言う「新聞紙」など)では“dad”、“did”、“eve”、“eye”などがあります。

 語句レベル(日本の回文で言う「竹藪焼けた」など)では“Was it a cat I saw?”(私が見たのはネコだったの?)があります。英語は単語単語で区切って表記するのでわかりにくいのですが、ちゃんと左から読んでも右から読んでも同じフレーズになっています。

 他にも“Madam, I'm Adam.”(奥様、私はアダムです)があります。アダムという名前の男性が女性に自分の名前を覚えてもらおうとしたり、洒落っ気を出して自己紹介をするときに使われるフレーズです。もし、英米人男性からこのような自己紹介をされたら、女性は笑顔の1つでも浮かべてあげる心遣いが必要かもしれません。


1番長い英単語は1913文字!!!

 英語を勉強する人にとって、長い単語はくせものです。読むのも綴るのも難しいので、できるだけ使わずにすませたいところです。

 しかし、度を越した長さとなると逆に興味がわいてくるのも確かです。たとえば、22文字のdeinstitutionalization(非制度化すること)や、29文字のfloccinaucinihilipilification(つまらないものを分類すること)などは、各種検定試験の超上級レベル(英語のネイティブでも苦戦するレベル)で使われることもあり、大きな辞書には掲載されている単語です。

 専門用語となると、さらにスケールが大きくなります。たとえば医学の世界で認められている、45文字もある単語がそうです。それはpneumonoultramicroscopicsilicovolcanoconiosisです。『微少な塵灰などを吸い込むことで生じる肺疾患』をさすのですが、実際に医学用語として使用している医学関係者は非常に少ないそうです。

 化学の分野では、おそるべきことに1913文字にもなる酵素の名前があるそうです。267ものアミノ酸を持つために、すべてを略さずに記すとそれだけの長さになってしまうのです。


 なぞなぞの世界で1番長い単語はsmilesです。sとsの間が1マイル(mile)もあるからです…あくまでも、なぞなぞの世界での話ですからね。


「2番目」を意味するsecondが「秒」も表すわけ

 secondといえば、twoに対する序数であり、「2番目の」と訳すのが普通です。ところが、secondには他に時間の「秒」の意味もあります。なぜ「2番目の」secondが「秒」という意味も持っているのか、考えてみると不思議な感じがします。

 そもそもsecondという単語はラテン語で、フランスを経由してイギリスに渡り英語化された歴史を持っています。secondが英語化されるまでは、「2番目の」という序数を意味する英単語としてはotherが使われていました。しかし、otherには「もう1つの」という意味もあったため、いつしか外来語のsecondに序数の位置を譲ってしまったという経緯があります。

 そんなsecondが「秒」という意味も持つようになったわけは…

 ギリシャ・ローマ時代の頃は、hour(1時間)以下の細かい時間の概念は存在していませんでした。やがて、1時間以下の細かい時を示す言葉としてminuteが登場し、「次に細かい時」を表現しようという時はsecond minuteと呼ぶようになりました。そして、minuteが省略されるようになり、いつしかhourに次ぐ時間の単位としてminuteが分に、secondが秒と認められるようになりました。


 お偉いさんは分刻みのスケジュールで行動して大変だなぁと思いますが、これが秒刻みのスケジュールだったら、はっきり言ってロボットですよね。がんばれ、世界のお偉いさん。


ちんぷんかんぷん

 最近では耳にする機会がなくなった表現に「ちんぷんかんぷん」があります。「意味不明」とほとんど同じような意味合いの言葉です。

 では、この「ちんぷんかんぷん」を英語で表現するにはどうなるのでしょうか。

 gibberishという単語が存在しますが、非常に堅いイメージを持っていてあまり好まれません。最も好まれるのは“It's Greek to me.”あるいは“All Greek to me.”という表現です。直訳すると「それは私にとってギリシャ語だ。」を意味する一文が「ちんぷんかんぷん」の意味として使われるのです。この一説はシェークスピアの『ジュリアス・シーザー』のなかで、登場人物がギリシャ語を操っていたため、会話の内容が分からなかったことを告げるために使ったのが最初であると言われています。

 その一方で、シェークスピア以前にも存在していたという説があります。英国人にとって、ギリシャ語は古代文明をリードしたギリシャ文化の遺産であり、難解な文字という考えがあったため、比喩として用いられたということです。


 「ちんぷんかんぷん」を正しく漢字で表記すると「珍紛漢紛」。英語だろうが日本語(漢字)だろうが、まさに「ちんぷんかんぷん」って感じがします。


オードリー・ヘボン??

 オードリー・ヘップバーンといえば、映画『ローマの休日』で一世を風靡した映画女優です。このヘップバーンとローマ字の間には不思議な関係があります。

 『ローマの休日』が関係しているのではなく、ローマ字表記法のヘボン式の生みの親であるアメリカの宣教師・医師・語学者ジェームズ・C・ヘボン氏の名前が問題なのです。

 オードリー・ヘップバーンはAudrey Hepburnと綴り、ヘボン氏はJames C. Hepburnと綴ります。どうでしょう、どちらのファミリーネームもHepburnなのです。つまり、オードリー・ヘップバーンが「オードリー・ヘボン」、ヘボン氏が「ジェームズ・C・ヘップバーン」と呼ばれても不思議ではないのです。

 実は、いずれも間違いではありません。綴りを意識した場合は「ヘップバーン」に、発音から耳に残る強い音を意識しすると「ヘボン」になるのです。


 ローマ字の表記法の生みの親であるヘボン氏が耳に残る音で呼ばれているのは、なんとも微妙な感じがします